タイムパラドクスゴーストライター 最後のあらすじと一言 (ネタバレ含)

今更?な話ですが、10/02に単行本2巻(最終巻)が発売され、
完結したので、ここに記録として残す。

過去のあらすじとか読みたいという方は↓

考察1(1 - 9話)
anond.hatelabo.jp

考察2(10 - 11話)
nyanux.hatenablog.com

あらすじ

12話~14話、単行本のみの後日談のあらすじをまとめ。
上手くまとめることが出来ず、大分長いですが、ご了承ください。

第12話 未完の世界

冷蔵庫の中の渦に飛びこんだ佐々木哲平は開かれた本の上に椅子が2脚向かい合うように用意されている。

佐々木哲平は異空間の椅子の上で目が覚める。もう片方の椅子にはフューチャー君ロボットが座っており
「ここは時空のはざま、あるいは物語の空白のページだ」と言う。

佐々木哲平は困惑するが、まず最初に
「藍野さんが過労で死んでしまうなら、どうしてそう言ってくれなかったのか?
そうと分かっていればいくらでも助ける手段はあったはずだ」
と聞く。

フューチャー君は
「色々と試したが、全て上手く行かなかった。その身を滅ぼすまで夢を追いかけてしまうからだ。
なので、彼女の夢を壊すのが救う唯一の手段」
と答えた。

フィーチャー君は続けて
ホワイトナイトを先に世に出す事により、彼女を挫折させ、夢を追うのを諦めさせる予定だったが、彼女は諦めなかった。
そこで佐々木哲平にホワイトナイトでANIMAに勝ち、彼女再度挫折させ、夢を追うのを諦めさせようとした。」
と答えた。

哲平「お前の考えはわかった。でもどうしてそれを俺に教えてくれなかったのか?」
フィーチャー君「佐々木哲平は夢を追って死ぬのならそれで正しいのでは無いか?と葛藤してしまうから伝えなかった。」
哲平「どうして俺だったのか?」
フィーチャー君「本来の世界線(未来のジャンプが来ない世界線)では佐々木哲平は実家に帰り、就職するが、
それでも漫画を描いていた。8年後週刊少年ジャンプに読み切りを載せ、藍野伊月はそれを読んで奮起し、ホワイトナイトのネームを持ち込む事になる。
君と彼女は根本で通じ合っている同類だったから、ホワイトナイトを託した。」

フィーチャー君「私の電池残量も残りわずかだ。私はこれから藍野伊月が死亡する5日前に時をを戻し、そこで全ての時を止める。
せめて生きたまま時を止め彼女が生きている世界を永遠に残したい。」

哲平はそれは死んでいるのと同じじゃないか、と激昂する。

フィーチャー君「佐々木哲平には迷惑をかけたため、君自身の物語の行く末の選択肢を与えようと思う。」

・一つ目はここから引き返し、藍野伊月が死んだ世界で生きていく
・二つ目はこれまでの記憶を消し、あの日雷が落ちなかった世界へ戻り、藍野伊月と出会う事なく生きる

哲平を逡巡し、こう言った。

哲平「なら、こういうのはどうだ?」
哲平は3つ目の選択肢を提案する。

ーーーーーーーーーーーーー

フィーチャー君は熟考し、哲平に賭ける事を決める。

(ここから先は漫画の文章を端折らず、そのまま記す)

哲平「最後に教えてくれないか。お前は一体何者なんだ?」
フィーチャー君「私は人の創造する力が生んだ幽霊だ」
哲平「えっと、つまり?」
フィーチャー君「まぁつまり、とある作家によって生み出された物語に必要だったキャラクターに過ぎないということだ」
哲平「?」
フィーチャー君「すまないが、これ以上君に理解してもらうには少々時間が足りない」
哲平「いや、いいよ。知りたいことは知れたから」
フィーチャー君「何をだ?」
哲平「お前も藍野伊月を助けたかったって事をだ。だからありがとう」
フィーチャー君「よくわからんやつだ。君は訳も分からぬまま成り行きでこうなったに過ぎないというのに。
だが、ありがとう」

場面はさらに転換し、時が止まった世界に移る。
そこで佐々木哲平は目ざめ、一人漫画を描く。

第13話 Writer

止まった時の世界の中で哲平は一人漫画を描く。

佐々木哲平以外のすべての時が止まっている。
佐々木哲平が触れたものは動かす事が可能で、手放すと静止する。
さらに腹も減らなければ喉も乾かず、眠くなることも無かった。
ひたすらに漫画を描く事に専念する。

796日目

ホワイトナイト ネーム全194話 完成
何度も書き直し完成させたが、しかしそれでもアイノイツキには遠く及ばない事を感じていた。
自分の実力の伸びにも頭打ちを感じ、これ以上成長するにはインプットが必要だと哲平は考えた。

1081日目経過

佐々木哲平は漫画喫茶で漫画をむさぼるように読む。

1530日経過

佐々木哲平は区立図書館で史書をむさぼるように読み、知識を付ける。

2411日経過

佐々木哲平は「出来た、これが究極のホワイトナイトだ」と歓喜の声を上げる。
そして自室の電子レンジの前に立つ。
フィーチャー君から「覚悟が決まったら私に触れろ、そうすれば再び時は動き出す。」と伝えられていた。

哲平は「まだだ、まだやれる」
きびすを返し、自室を後にする。

3175日経過

五回目のホワイトナイト完結
哲平「よし、次だ」
哲平はホワイトナイトを超える作品を描く事を決意する

12472日経過

オリジナル長編作品18作目完結

(漫画の文章をそのまま記す)

何万日でも何万年でもやってやる、
もう俺の心は壊れない。
今までずっと俺にしか描けないものも読者に伝えたいものも無かった。
でも今は違う、俺は思い出したんだ。だから描く藍野さんに夢を諦めさせるために
描くんじゃない、俺は漫画でどうしても君に伝えたいことがあるんだ!

と言い、漫画を描く。

哲平は完成した漫画を持ち、静止した世界を走り出す。

第14話 あの頃

フィーチャーくんに触れ、再び時は動き出した。
哲平は藍野伊月の家に行き、漫画を読んでほしい言うが、藍野伊月に一蹴されかける。
哲平「ANIMAを超えるネームを描いたから読んでほしい」と懇願し、藍野伊月はしぶしぶ了承する。

その後藍野伊月が哲平の漫画を読み、走り出す。

藍野伊月は哲平の元に行き、
「めちゃくちゃ面白い、あれこそ全人類が楽しめる漫画だ」と絶賛する。
続けて、
「全人類が楽しめる漫画を目指していたが、誰からも嫌われるのが怖かっただけ。
自分はただ漫画を描くことが好きだったはずなのにだんだんその気持ちを忘れてしまっていた。
これを読んであの頃の気持ちをもう一度思い出すことが出来た」

と言った。
哲平は

・この漫画は藍野伊月だけに向けて描いた
・誰からも愛されるものを作ることなんて出来ない
・たった一人の同類にだけ届いたらラッキーじゃないか?

と藍野伊月に伝えた。

藍野伊月は肩の荷が降りたと佐々木哲平と雑談をする。

10年後、アイノイツキは左手薬指に結婚指輪をしている。
哲平は角度的にわからないが、していないように見える。マンションも違うので違う人と結婚したのではないかとも考えられるが、不明。

END

特別編「いつかのいつかまで」

ホワイトナイトは人気絶頂のまま完結し、五年後。
藍野伊月はANIMAの連載を終わらせ次回作もヒットさせ順調な漫画家人生を歩んでいた。

一方佐々木哲平は

ゴッドマーカー->三か月で連載終了
ゾーン300 ->一年ほど続いたが連載終了

と奇抜な内容の漫画を描き人気が出ず、転落人生を歩み、37歳になっていた。

藍野伊月と電話で話す佐々木哲平。
藍野伊月「私に読ませたあの漫画を連載すればいいのでは?」
佐々木哲平「あれは藍野伊月だけ読んでもらえたらそれで満足だ」
藍野伊月「自宅の前に多額の現金の入ったバッグがあり、交番に届けたが佐々木先生のでは?」
佐々木哲平「え、違うよ」
と怪しい会話をする。(ちなみに現金はボストンバッグ一杯に100万円の束が入っていた)
保有期間が過ぎればその厳禁は藍野伊月の持ち物になるそうだ。

佐々木哲平の元に来客。
元アシスタントの五十嵐肇と赤石元気。
二人ともジャンプで連載を持つ漫画家になっていた。
佐々木哲平の次回作「メビウスの星」のネームを読み、またぶっ飛んだ内容に驚きを隠せない様子。
赤石元気のスマホに着信。藍野伊月からだ。
雨が降りそうだから洗濯物を~という内容で、二人とも佐々木哲平の元を後にした。

佐々木哲平は「メビウスの星」の連載が決まった事を報告しに
漫画の師匠である、七篠権兵衛(ななしのごんべえ)(42) (本名:桃園恋子) の元を訪れていた。
七篠「哲平、お前は最近今までにないモノを作ってやろうと変に意識しすぎなんじゃないのか?」
哲平「一時期世の中にある小説、漫画を読みまくって研究していたことがあり、自分でもまったく新しい物語を作りたくなった」
七篠「ならいい、最近は楽しそうに見えるからな。自分を信じて突き進め」
哲平「精一杯頑張ります」

そして「メビウスの星」の連載が始まったが七週で打ち切りとなった。

アシスタントであった山根次郎と別れを済まし、打ち合わせのために集英社に訪れた哲平、
そこに編集の菊瀬が現れる。
菊瀬「どうだい三回連続で打ち切られた気分は」
哲平「相変わらずデリカシー死んでますね」
菊瀬「ホワイトナイトは誰にでも描ける。だから売れた。
でもその後の三つは君にしか描けない。だから面白かった。はやく次を連載してほしい」
と言い去った。

自室に戻り漫画を描く佐々木哲平。
身体に痛みが走り手や顔にヒビが入る。
哲平(アレだけの時の中を都合よく過ごして何も反動が無いわけがない。
仕方がないが、せめてこのネーム、このページ、このコマだけでも)
と崩れるからだでペンを持ち机に向かう。

そこに現れる謎の老人。
10話で藍野伊月にジャンプを譲ったあの老人だ。

佐々木哲平が頑張ったおかげで藍野伊月が死なない世界戦にすることが出来た。感謝する。
うちの子(フィーチャー君の事らしい)が失礼なことを言ったが、哲平はヒーローでも悪役でもない。
佐々木哲平の物語の主人公、ただそれだけだと。
なので、貴方が死ぬことは無い私が引き受けると。
そして机に伏している佐々木哲平の背中に手を当てる。

佐々木哲平の目が覚め、「なんだ夢か」と胸をなでおろすが、
(いつか必ず今日だろうと何十年後だろうといつか必ずその時は来る。
願わくば、そのいつかまでーーーー)
机に向かい漫画を描く、佐々木哲平と藍野伊月。

集英社が映り、佐々木哲平のネームを読む宗岡。
ホワイトナイトを読んだ時のように喜びと驚きの混ざった表情を見せ、盛り上がる。
佐々木哲平はこぶしを握り締める。

タイムパラドクスゴーストライター END

番外編「ニコちゃんマーク」

藍野伊月がいつも身に着けているヘアピン、ニコちゃんマークについて。
未来からのメッセージでも見せた。

藍野伊月が小学生のころ、
スーパーの店先に並ぶガチャポンに目をやると
スマイルヘアピンコレクションというニコちゃんマークのヘアピンがあった。
ジャンプを譲り受けたお爺さんのにこやかな顔に似ていると感じた藍野伊月は
ガチャを回し手に入れ、以降身につけるようになった。

時を止める

もう考察もクソも無いが、
時を止めるほどの力があるのなら、幼少期にジャンプを渡さない世界線にすればいいのでは…?としか思えない。
もしくは哲平に8年後に漫画を書かせない(落選させる)とか、別の雑誌に載せるとか…。
「色々試したけど全部ダメだった」と言ったが、ほんとにやったの?と聞きたい。
時を止めるなんて言うあまりに極端な展開で開いた口が塞がらなかった。

佐々木哲平について。

最後まで人の作品を盗んで莫大な財産を奪った、という事について贖罪をすることがなかった。
のうのうと今でも漫画家を続けている。

後日談で藍野伊月にホワイトナイトで稼いだお金は渡したが、ホワイトナイトが生み出したのは
お金だけではなく、その作者の名声も含まれるはずだ。作者インタビューだってあっただろう。
そこについてはどうなんだろうか。

もし贖罪するというならば、死もしくはホワイトナイトの連載を終わらせた後、
漫画家を引退し、藍野伊月のアシスタントとして支えるという道などはどうだろうか。

何を言ってももう遅いが。

最後まで謎

そして老人が哲平の死を肩代わりしたが、アンタすでに死んでるんじゃないの?と。そしてアンタ何者だよと。
未来からジャンプを送ったり、メッセージを送ったりなんだりとかも曖昧なままだ。
そして√144。もっと連載が続いていたら解説があったんだろうか。

終わりに

単行本も発売され、これでタイパラも完全に終わりました。
ちゃんと1,2巻共に購入しましたからね。自分は。

師匠は後日談で出てきて良かったですね。
本来なら佐々木哲平か藍野伊月がスランプに陥る -> 師匠に相談する
という話から登場とかだったのではないでしょうか。

藍野伊月は結局赤石元気と結婚。
乳繰り合っていた描写も多かったので、まぁ順当か。



タイムパラドクスゴーストライター

個性を殺した作品こそが傑作だと信じた藍野伊月、
それに個性を加えた佐々木哲平

個性を加えたホワイトナイトが
個性を殺しているANIMA,元のホワイトナイト
を倒すことで

個性>透明な傑作

ということを伝えたかったのではないかと。

週刊少年ジャンプの中で15話のボーンコレクションより短い14話で終わりというここ最近では
最も短かった連載でしたが、自分は毎週楽しみにしていました。

本当にお疲れ様でした。次回作も楽しみにしています。